三浦直樹シェフ 終わりなき挑戦
ひとつひとつ手作りしたチョコレートの素材感が奏でるハーモニー 「Okada Museum Chocolate」シリーズ


三浦直樹シェフが手がける人気商品Okada Museum Chocolate「プレシャスハート」

各百貨店がバレンタインイベントを開催する中、日本橋三越本店の「スイーツコレクション2018」も大いに盛り上がりを見せています。そんなスイーツコレクションに4年連続出店し、ラグジュアリーなチョコレートとして人気なのが、岡田美術館収蔵作品をモチーフにした『歌麿・深川の雪』。岡田美術館専属のマスターショコラティエである三浦直樹シェフが今年の新作として販売中の喜多川歌麿の大作の世界観を表現した『歌麿・深川の雪』は、「ゴルゴンゾーラチーズ×ベーコンチップ」に「和栗×松茸」、「白トリュフ×南瓜」、「アーモンドミルク×ドライアプリコット」、「ピスタチオ×シナモン」など16
種のフレーバーが楽しめる贅沢な逸品。そんなアートなチョコレートを生み出し続ける三浦直樹シェフにインタビューしました。


岡田美術館の敷地内にあるミュージアムショップでは販売中のチョコレートがずらり

ー今回の新作となるOkada Museum Chocolate『歌麿・深川の雪』は、どのように生まれたのですか?
ー三浦シェフ 
昨年、岡田美術館で喜多川歌麿「深川の雪」を中心に特別展を開催したことに合わせて、カカオそのものの味よりも日本の素材などの味を重視した構成でまとめました。紫芋と黒胡麻の組み合わせは、想像通りの和菓子のような味わいに仕上げています。和栗と松茸の組み合わせでは、フリーズドライした松茸を使用しているので松茸の風味がしっかりとしてます。またピスタチオとシナモンは、自家製のジャンドゥジャとガナッシュを合わせました。

ー今回の新作で初めて使用した素材はありますか?
ー三浦シェフ 
今回でいうと”紫芋”の素材は初めて使いましたね。安納芋は使ったことはあったんですけど、紫芋は見た目にも綺麗だし、インパクトもあるかなと思い今回使ってみました。

ー岡田美術館がチョコレート市場に参入した時、初めて作ったチョコレートは?
ー三浦シェフ
はじめて美術館から依頼をいただいたのは尾形光琳の琳派400年を記念した「琳派」をイメージするようなチョコレートということでした。そこで僕は、「菊図屏風」から連想されるものとか、ストーリーとか色々考えたんですけど、そんなにうまいこと食べ物も出てこないし、チョコレートに使えるものが出てこない中で、無理やりストーリーをつなげるのはよくないかなと思った。そこで唯一再現できると思ったのは、「菊図屏風」本来の美しさをそのままチョコレートで表現することではないかなと思い始まったんです。


岡田美術館でしか買えないお土産を揃えるミュージアムショップ

ーチョコレートに美術品そのものを表す構想はそこから始まったんですね。
ー三浦シェフ
作品そのものを表現するという方法が一番わかりやすいと思いました。それ以外の方法で説得力のある方法はないであろうと。そしてこのような形ができて今年で3年目になりますね。

ーOkada Museum Chocolate「プレシャスハート」は2年ぶりの発売ですね
日本橋三越本店限定で販売中のOkada Museum Chocolate「プレシャスハート」は、昨年は発売していなかったのですが、購入したいと問い合わせくださるお客様がたくさんいらっしゃって、今年は2年ぶりの発売になりました。
器にもなっているハート型のチョコレートを作るときは、3段階の工程を経て完成します。この表面の光沢感を出すのも最初は大変でした。室内の温度や湿度などが影響もしますし、何度も失敗したこともあって今に至ります。
ハート型のチョコレートの中には5種類のボンボンショコラが入っているんですが、特に僕が好きな組み合わせのチョコレートは「ビンテージバルサミコ×イチジク」です。イチジクのプチプチとし食感が残るのが特徴的です。ピカピカのハートのチョコレートに5つのハートのチョコレートが入っているので、間違いなく本命チョコですね。


ハート型のチョコレートを作る時に一番大切にしているのがこの光沢感なんだとか

ー三浦シェフのチョコレートは素材と素材の組み合わせが特徴的ですが、どのように今の形になっていったのですか?
ー三浦シェフ
僕が前職などで経験してきたフレーバーは200種類以上に上ります。そんなフレーバー同士の新しい組み合わせをいつも考えています。ブランドごとに、求められているものが若干違うので、毎回フレーバーの組み合わせなどは変化しますが、根本的には一緒かなって思いますね。前職から、自分が持てる技術を精一杯発揮して一番良いと思うものを一番良い素材で、「ブルガリ イル・チョコラート」の時は、可能な限りイタリアの素材を使ってハイジュエリーで高級感のあるチョコレートを作るというところからスタートしています。
一番最初は10種類くらい作りました。そのときに作ったのが、ティラミス風味のボンボンショコラでマスカルポーネチーズとコーヒを組み合わせました。当時から白トリュフもあったし、ビンテージのバルサミコも使いました。このような素材だと高級感があるイメージになるんですけど、当時、10種類くらいのレベルで揃えるのは素材がないから本当に探すのが大変でしたね。自分が持てる最高の表現でチョコレートを作っていた時、さらに一粒1500円の最高級なチョコレートを作ることになった時は、ビンコットとドライイチジクを組み合わせました。

ーフレーバーの組み合わせを考える時のインスピレーションはどこからきているんですか?
ー三浦シェフ
「デカダンス・ドュ・ショコラ」と「ブルガリ イル・チョコラート」のときに積みあげてきたものの引き出しから引っぱってくることが多いですね。また、ふとした拍子に、例えば外に食事に行ったときにレストランで出てきた素材でこれチョコになるじゃないか?というのがあったら、一回ちょっとやってみるとか。
僕は、ものを作るにあたって人の真似をしたりとか、人と同じものとかっていうのはあまり作りたくないなと思っているので、ほとんど人の作品とかは見ないんです。
若い頃は食べ歩きとか、情報誌とかも全部チェックしていましたが、自分がある程度まできた段階であまり人のものは見ないようにしてます。自分の中から出てくるものだけで構成するっていうのをずっと心がけていますね。
そうは言っても、最近はちょっと見るようにしているんですけどね。独りよがりになってもいけないので。やっぱり個性がないといけないと思うし、個性もやり過ぎてはいけないし、ちょうど良いところを客観的に見ることも大事ですからね。


作りたてのOkada Museum Chocolate『歌麿・深川の雪』

ー最後に、三浦シェフから見るこれからのチョコレートの可能性についてお聞かせください
ー三浦シェフ
すぐではないでしょうけど、料理を見てもスイーツ業界を見ても日本人は勤勉で、努力する方が本当に多いので、今ではフランス菓子にしても技術は劣ってないと思うんです。10年くらい前からはチョコレートを普段から買って楽しんでいる人も増えている。これからはさらに日本のブランドがヨーロッパのブランドと張り合っていくんではないかと思いますね。


美術館を訪れる人を迎えるのは風神・雷神の大壁画「風・刻」(かぜ・とき)


今年で4年目を迎えた岡田美術館の収蔵作品をモチーフにしたアートなチョコレートは、『光琳・菊』から始まりました。

また岡田美術館の敷地内にあるミュージアムショップで、『光琳・菊』などとともに常に販売していて、定番商品となっているのは「スライスオレンジ」(価格、1000円)。スペイン産のバレンシアオレンジをシロップ漬けにしてチョコレートでコーティングしたオランジェです。「チョコレートは一晩かけて常温で固め、スペイン産のオレンジの香りとジューシーさを思いきり味わってもらえるように仕上げました。ヨーロッパのレモン、オレンジ、アーモンド、シチリア産のピスタチオはどの国ににも負けないくらい美味しい素材です」(三浦シェフ)。
これからも岡田美術館では、季節ごとに企画展やイベントなど開催し、企画展に合わせた新作チョコレートも発表していく予定です。三浦シェフのこれからのさらなる活躍に注目ですね。

三浦直樹
宮城県仙台市生まれ。地元仙台のケーキ店に勤務後、渡仏。その後、代官山「デカダンス・ドュ・ショコラ」のオープニングシェフや、「ブルガリ イル・チョコラート」の初代マスターショコラティエとして活躍。2014年から岡田美術館チョコレートマスターショコラティエとして斬新なチョコレート作りに努めている

岡田美術館 
住所:〒250-0406 神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1
営業時間:9:00~17:00
休館日:12/31、1/1、展示替えによる臨時休館あり
電話番号:0460-87-3931(代表)
H P:www.okada-museum.com

日本橋三越本店「スイーツコレクション2018」
会期:1月31日(水)〜2月14日(水)
会場:日本橋三越本店本館7階催物会場

(文・千島絵里香)
投稿者
甘党編集部