【シェフ対談 Vol.1】デリーモ 江口シェフ×ケンズカフェ東京 氏家シェフが語るチョコレートの世界

チョコレートの世界に魅了されたケンズカフェ東京の氏家健治シェフ(右)と、デリーモの江口和明シェフ(左)。

来年20周年を迎えるケンズカフェ東京と、来年3月29日に開業する「東京ミッドタウン日比谷(TOKYO MIDTOWN HIBIYA)」地下1階にパティスリー&カフェデリーモをオープン予定の株式会社スイーツデザインラボ「これからのチョコレートの無限の可能性」について熱く語ってくれました。

今から30年前、フランス料理が好きでヨーロッパ旅行に行った氏家シェフが出会ったのは、当時まだパリに2店舗しかなかったラ・メゾン・デュ・ショコラのチョコレートでした。「チョコレートってこんなに美味しいんだと。日本にはあんなに美味しいチョコレートはなかった。当時僕は19歳の頃だからとにかく感動しました」
チョコレートってこんなに美味しいんだと原体験したことがガトーショコラを作る原点と話す氏家シェフ。

江口シェフがパティシエを目指した最初のきっかけは、子供の頃、家の近所にあったイナムラショウゾウの「モンブラン」を食べた時でした。「世の中にこんなに美味しいものが存在するんだと感動した。今まで食べたことのない、知らないものを知った瞬間だった。僕は勉強も苦手だったし、手に職をつけなきゃいけないと思った」僕にはそれしかなかったという江口シェフ。

本格的なチョコレートの季節が到来した12月、チョコレートのお菓子を作り続けるケンズカフェ東京の氏家シェフと、デリーモの江口シェフの2人がチョコレートに対する熱い思いやこれからのチョコレートの未来について語ってもらいました。


対談する江口シェフと氏家シェフ

ここ10年で浸透した「ショコラティエ」

氏家 もともと「ショコラティエ」という言葉はあったけど、パティシエなどもなりたい職業として人気が出たのが10年くらい前で、失恋ショコラティエというドラマが放映したあたりからショコラティエが一般の人にも浸透するようになって、市民権を得たのかなと思います。

江口 ショコラティエの定義が難しいですよね。ボンボンショコラを作るのがショコラティエなのか、チョコレートを扱っていればいいのか。

氏家 僕は、パティシエでもないしショコラティエでもないし、チョコレートの菓子全般を作るわけでもないし。僕はこのガトーショコラくらいしか作れないので。もともと出身は料理人なので、シェフなんですね。だからいつも自己紹介で困るんですけどね(笑)。ガトーショコラ屋さんですかとかケーキ屋さんですかとか、ガトーショコラしか作れないんだよなとか言いますね。

江口 まさしく一点突破ビジネスの圧倒的完成形ですよね。本当は皆そんなビジネスモデルをやりたいんです。僕は氏家さんのビジネスモデルが目標になりました。

氏家 自分がとか、儲けたいとか、楽しようではなくて1品でも美味しければできるということを背中で示したいなと。背中で示すには圧倒的な数、売り上げだろうと。その目標があったから、10数年頑張れました。最初は赤字でしたが、毎日毎日作ってても飽きないというか、やりがいがあったです。背中を押されてたというか。今のビジネスモデルが完成したのが5、6年前で、面白いビジネスモデルだから本になるなと思って本も出版できました。
その頃からもう一つの夢でもあったコンビニ展開。いろんな人に「コンビニやりたいんですよねって」と言っているうちに、紹介してくれる人も出てきてくれてコンビニとのコラボも実現することができました。1万8000店舗のコンビニで3年目に入ります。僕は主に商品の監修をしてますが、どういったものが喜ばれるかとか知見が高まってきてやりがいもあります。
抹茶のガトーショコラは、嬉しかったですね。いろんなものはやりたいけど、店ではできないじゃないですか。やったところで、主力商品の質も落ちるし。もしかしたら違うブランドでもよかったかもしれないけど、結果的にこういう形でできてよかったです。


ケンズカフェの厨房で毎日ガトーショコラが作られる

最近ブームの「Bean to Bar(ビーントゥバー)」について

氏家 Bean to Barも良し悪しがあるけど、味がわかってくれば淘汰してなくなるのではないかなと感じることもあります。5年後は日本でもチョコレートのレベルが確実に上がりますから、その時に、おいしくないものは弾かれてしまうのではないかと思っています。

江口 Bean to Barブームは、間違いなくすごい。特に明治のカカオは元祖だから機械も違うし、明治はプロですよね。街のちいさな店で、コーヒーのミルみたいのでカカオ豆を5時間回して努力している店もある。
氏家 コーヒーの自家焙煎は鮮度がいいですけど、チョコレートを自家焙煎することでおいしくなるとかではなくて、材料が悪ければ、どんなに丁寧に焼いてもどんなにコンチングの技術が良くても、おいしくならないんですよね。トンビが鷹を産まないんです。いい材料がいかに手に入るかが大前提。見た目とかブランドも演出として大事だけど、本質にこだわるのが一番大事ですよね。

江口 日本では、いい豆はどうしても手に入りづらいのが実情です。日本の大手商社を通しても日本には、そもそも、いいカカオが入りづらい状態。僕はフランスに行った時、BEAN TO BARをはじめようとする彼らはいい豆自体が入ってこないと言っていました。フランスでさえ、いい豆は大手が取引する流れは今も昔も変わらないようです。

チョコレートのブランド力について

氏家 原材料となる高級チョコレートのブランドとしては「ヴァローナ」「ヴェイス」「ドモーリ」などが有名ですが、最近は、そこまでブランドを意識する時代ではなくなってきたように思います。産地と品種と焙煎具合やコンチング技術など、こだわる部分は絶対にあるけれど、あまり、ブランドだけに寄生しない。実は、うちのガトーショコラは当初からドモーリのチョコレートを配合していますが、お客様は、ケンズカフェのオリジナルのガトーショコラを買ってくれてるのだから、ドモーリのチョコレートを配合していることを説明する価値はあるけれど、そこに「ドモーリ」のブランド力は昔ほどいらない時代だと感じています。

江口 いっ時は、「ヴァローナ」って言ったら気持ちが高ぶりました。「ヴァローナ」は今でも高級チョコレートとして変わらない価値があり、とにかく味が気に入っているとしか言えない。しかし、ケンズカフェのガトーショコラは、ドモーリのオリジナルチョコレートを使用しているという付加価値こそがポイントですからね。

お客様目線と客観的に捉えることが大事

氏家 モテると儲かるはよく似ているとよく僕はいうんですけど、モテるということは魅力があるということだろうと。僕は、お客さま目線をすごく大事にしていて、10数年間やり続けていると、だんだん客観的に見えてくるようになった。逆に悪いことが入ってくるとヒントになったりするようになる。人のことを思いやれたらモテるだろうし。相手のことを思うことが大事で、自分だってことはあまり関係ないんです。

江口 僕は、デリーモで自身が露出することはあまり考えていなかったけど、色々とやりたい葛藤というものは今でもあります。また、今回のバレンタインの時期限定でボンボンショコラを販売する予定です。今回はチョコレートを全部ケーキの味にしたんです。ショートケーキとか、モンブランとかピスタチオとか、ミルフィーユとか。遊び心満載のチョコレートを全面に打ち出して、私らしくはみ出し路線で販路を獲得していこうかなと思っていますw。

チョコレートの文化が普及して盛り上がって欲しい

氏家 日本では、街を歩いていてもショコラティエの店がまだ全然少ないじゃないですか。今後はチョコレートの市場規模はまだ伸びると思います。実際、少子化なのに、過去5年間でうなぎのぼりで市場も拡大し上がっていますし、産業全体を見てもクラシックな商品で市場全体が伸びている。パティシエがショコラティエに転身するのも納得ですよね。
これからは、どんどん街角にショコラティエの店やショコラのブランドが増えていけばいいなと思います。


毎日作りたてのガトーショコラがここからファンの皆さんに届く

江口 個性的な色や形のボンボンショコラや海外からの日本に初めて入ってくるチョコレートも相変わらずなんでも人気があるし、最近の世の中のチョコレートは多分全部美味しいですよ。

チョコレート職人としてチョコレート業界に君臨する日本を代表する2人のショコラティエ。カカオの魅力やショコラの味覚の奥深さについて追求し続ける探究心に脱帽しました。日本人がつくるチョコレート菓子が世界で通用するようになったいま、チョコレートが持つ可能性は無限に広がっていくことでしょう。氏家健治シェフと、デリーモの江口和明シェフ、今日は本当にありがとうございました。

ケンズカフェ東京
TEL:03-3354-6206
営業時間:10:00~19:00
住所:東京都新宿区新宿1-23-3 御苑コーポビアネーズ1F
定休日:土曜日・日曜日・祝日
アクセス:東京メトロ・丸ノ内線『新宿御苑前駅』2番出口から徒歩3分。
URL:http://www.kenscafe.jp/

パティスリー&ショコラバー デリーモ 目白店
TEL:03-3988-1321
営業時間:11:00~20:00(LO.19:00)
定休日:施設に準ずる
住所:東京都豊島区目白2-39-1 トラッド目白 1F
アクセス:山手線「目白駅」徒歩30秒

パティスリー&カフェ デリーモ 渋谷ヒカリエ ShinQs店
TEL:03-6434-1825
営業時間:10:00~21:00(LO.20:30)
定休日: 施設に準ずる
住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ ShinQs B2F
アクセス:田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」15番出口と直結。
JR線、東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」と2F連絡通路で直結。
URL:http://www.de-limmo.jp/


入手困難ケンズカフェ東京の特選ガトーショコラ(3,000円 税込)
松屋銀座B1「銘家逸品」でも、毎日販売しています。(数量限定)
東武百貨店池袋店B1「全国銘菓撰」でも、毎日販売しています。(数量限定)
本店「ケンズカフェ東京」
*本店は12月31日までの予約受付を終了しました。
*新年は1月10日以降分より予約受付いたします。
*2月8日~14日分の予約受付は終了しました。


デリーモ渋谷ヒカリエShinQs店で期間限定発売中のパフェール フレジエ(980円 税込)
(テイクアウト不可)

(文・千島絵里香)
投稿者
編集部